きょうだい間抗争についての日本語の記述は見当たらない。Wikiでも「Sibling Rivalry」は日本語になっていない。なぜなら、先に生まれた者が一番大切にされるのが当然の家族だったからだ。しかし、戦後の欧米化で、日本人も自己規範だけでは乗り越えられない状態になりつつある。
おにいちゃんだから、おねえちゃんだから、と言うのはやめましょう。
きょうだいは平等に扱いましょう。
いたるところでそんな偽善を目にする。実は、きょうだい間で起こっている戦いはもっと切実なものなのだ。
海外の記事では、きょうだい間抗争が、家庭の不和の原因にもなると書かれている。どんなに平等に扱っても、本人たちにはひいきだと言われる。にーちゃんだけ特別扱いしている、妹だけ特別扱いした、そんな不平がうずまいて、親はどうしたらいいかわからない。
こういうコンフリクトに対して答えをくれるのがダーウィニズムだ。最近夢中だ。
例えば、ホモセクシュアルを科学的に証明しろと言っても、母親のストレスだの、生まれた順番だの原因は個々の家族にあるような説明でしかない。実際は、Kin Selection(同類選択)によるものだと進化生物学は説明してくれる。
今日は長くなるぞぉぉぉ
きょうだいのライバル関係の観察
動物界でのきょうだいのライバル関係は協力や身体的な強化など、どこでも見て取れる。競争が多い種、協力が多い種様々だが、親の態度が進化の過程で影響を及ぼすのか調べたところ、親のケアが多い家族では競争、親が不在がちな家族では協力的であることが分かった。¹ これは虫を使った研究だが、22世代後には親のケアを受けられなかった子孫は、協力的な種になるのは面白い。
んじゃ、アタシは子供に手をかけ過ぎたのかと言うとそうでもない。母子家庭で仕事で不在にすることが多かった。確かに二人でいる時には協力して母親が帰って来るまで乗り越えたと想像できるが、母親が帰るととたんにケンカだ。アタシは仕事で戦っているのに家に帰ってもきょうだいの泥試合を毎日見ていた。クタクタだった。
二人とも成人したのだが、いまだに心の中にライバル心があり、胸の中にジェラスが渦巻いているという。やきもちなんて言うカワイイ言葉では収まらないような、ふつふつと湧き上がる敵意のようなものを抱えている様子である。そんなのつらすぎだと思うし何かできないか探したけれどもこれと言っていいソリューションは見つからない。育児書や児童心理学の書に載っている大切なことは手を尽くしたからだ。
きょうだい間抗争が起きやすい年齢差
こんなの知らなかったんだけど、3歳以上離れていれば、抗争が起きないそうだ。² ひよこクラブを訴えたい。うちは、23か月差で2年離れていない。これはきょうだい間抗争サラブレッドを産んでしまったことになる。
日本語で検索してみたら、「2歳差だと友達みたいなきょうだいで、服などを使いまわしできる」といかにもお得風な事が書いてある。かくいう自分もそうだと思って”計画”したのだ。それが、きょうだい間抗争を巻き起こして毎日敵意を持ちながら育つのだから、まったくのナンセンスだ。だいいち、このお得に飛びつくのは貧乏気質だからである。貧困層は、お得だと思って立て続けに産むが、闘争心が強い子供になってしまう。3歳離れていると、中学卒業と小学卒業がかぶって膨大な金がかかる、と言うのも一般家庭が2歳差を選ぶ原因である。”友達みたいなきょうだい”のはずが、結果として流血ギリの肉弾戦と、姑息なリベンジ合戦と化し、親は頭を抱えるしかない。
海外旅行も3人で行ったし、ご飯を食べに行くときには必ず二人とも連れて行った。二人のそれぞれのいいところを褒めて伸ばせるように、兄にはアート、妹にはダンスを強化することもした。
ボウルビィの愛着がうまくいけば子供は健全に育つなどと言う古典を信じて頑張ったがまったく意味がないことが証明された。
取り返しがつかないところが悩ましいのである。
自然選択的に見る年齢差の不自然
アタシの父親は戦中生まれ、4人兄弟だがそれぞれ3歳ずつ離れている。母親は戦後生まれ、4人兄弟で、同様に3歳ずつ離れている。昔は家族計画や避妊などの教育がされていたのかはわからないが、おそらく自然に3歳離れるのが自然選択的考え方だ。
そもそも、第2子妊娠のメカニズムは、授乳と関係がある。母乳を与えている間は子宮が収縮するので着床しても落ちてしまう。母乳は1年あげましょう。足りなかったらミルクを上げましょう。と言うのが実に嘘くさく、粉ミルクメーカーの悪意を感じる。確かに粉ミルクがない場合、赤ちゃんの生存率は下がるが、その結果不自然な年齢差のきょうだいが生まれて殺意を抱きあってしまい、闘争心むき出しの子孫が残ってしまうと最終的に残る子孫の数には変わりはない。
イスラム教のコーランには、母乳は2歳まで上げろと書いてある。これは子孫繁栄のためには実に合理的なルールである。2歳で母乳を止めると次の子を妊娠し、ちょうど3歳離れるのだ。20世紀に入るとアメリカとカナダで母乳保育へのネガティブなイメージが定着し当然日本にもその影響が出た。もともと母乳が出ない母親の元に生まれた子供は育たないのが自然選択だが、金持ちは乳母や家畜のミルクで子供を育てることができた。ここでも一般民衆に貴族の生活を真似させようとする資本主義の落とし穴が見える。
母乳で脱線したが、つまるところ、粉ミルクなどで人工的に赤ちゃんを育てると、それなりのリスクがあると言う事だ。
きょうだい間抗争は殺意が含まれる
人類に近いチンパンジーの母乳保育は4-5年続く。³ 当然のことながら、チンパンジーのきょうだいの年齢差は5歳である。人間が人工的に2年できょうだいが生まれてしまった場合、圧倒的に乳房の数が足りないのだ。もし、犬のように6個とかあれば、生存の可能性が上がるのできょうだい間の抗争は必要ない。近い年齢のきょうだいがいると、赤ちゃんには死の危険が迫るので、上の子は赤ちゃん返りなどと称して下の子をいたぶろうとする。これが進化論の自然選択的な結果である。
私も2年離れていない弟がいたが、彼への嫉妬は抑えようがなかった。本気で消えてくれと思ったし、弟に「死ね」と言って親にぶん殴られたことがある。私が感じた殺意は自然な事だった。かわいそうな私。それなのに、おねえちゃんだからと色々我慢させられ、結果的にグレるという王道を歩んだ。
うちの子供も肉弾戦になった際には見ている方が恐怖を感じるほどだった。おそらくあの二人は「殺してやろう」の勢いだったに違いない。きょうだい間抗争は、おっぱいの取り合いだと言う半ば強引な結論をここで発表する。ただ、おっぱいを飲まなくなっても成長期はかぶってるし食べ物の取り合いは続く。そのあとは、親からの称賛を求めて戦い続けるのである。コロッケを親として平等に半分にしたとしても、あいつの方がデカい、こっちは小さいと、生存本能によりケンカになるのだ。
きょうだい間抗争が終わるとき
きょうだい間抗争が終了するのは、親が病気になったり、死んだりした時だ。三割の大人が兄弟関係を「疎遠」または「ライバル関係」と言っているが、60代以上の80%が、きょうだいを「近い関係」と表現する⁴。私の弟は若くして亡くなったので、彼の死後私は母親を独占することになった。しかし自分だけ生き残った罪悪感で苦しむことになる。
悲しい事に私が元気で生きている間は私の子供たちの仲睦まじい姿は見れない可能性が高い。3年前に私が病気になった時には娘が家出していたので、兄である息子が頑張ってくれたが、そこそこ元気になって娘と連絡を再開した今、彼女はものすごい複雑な心境であると察する。嫉妬は怒りと言う2次感情として彼女を苦しめてきたと思うし、今後も苦しんでしまうかも知れない。
母親が病に伏すのがわかっていたら、彼女はそのホスピタリティの高さで私をケアしてくれていたのは予想できる。きょうだいで話し合って助け合ったかも知れない。そして彼女は家出しなかったかも知れない。年齢差のないきょうだいが助け合うのが自分の病気や死と言うのは、皮肉極まりないではないかっ
Rebar, D., Bailey, N. W., Jarrett, B. J., & Kilner, R. M. (2020). An evolutionary switch from sibling rivalry to sibling cooperation, caused by a sustained loss of parental care. Proceedings of the National Academy of Sciences, 117(5), 2544-2550.
https://www.bounty.com/family/family-dynamics/what-is-the-perfect-age-gap-between-kids#:~:text=Sibling%20rivalry%20may%20be%20minimised,before%20having%20your%20second%20child.&text=A%20bigger%20age%20gap%20means,on%20one%20time%20with%20mum.
https://www.bmj.com/rapid-response/2011/10/28/humans-are-primates-designed-breastfeed-years-not-months#:~:text=Chimpanzees%20breastfeed%20for%204%2D5,life%20of%20several%2Dto%2Dmany
https://en.wikipedia.org/wiki/Sibling_rivalry